相続は、手間がかかる

「 妻のヘソクリは 夫の相続財産 」とされた事例

相続税部門責任者の山本です。

 

今回は、名義預金について 実際にあった事例を紹介します。

 

夫が亡くなった時点で、妻名義の預金が存在していました。

その預金が、妻の財産であるか、それとも 夫の相続財産であるか、が争点となりました。

 

〔 妻の主張 〕

 妻は、婚姻前から預貯金を所有していた。

 婚姻後は、夫から渡された生活費をやりくりして ヘソクリを貯めており、夫もそれを了解していた。

 妻名義の預金は、妻固有の財産である。と主張した。

 

〔 課税庁の見解 〕

 妻は、婚姻時に持参金はなかった。

 夫が妻に生活費を渡し、預貯金の管理運用を任せていたからといって、

 妻の財産になるわけではない。

 この預貯金の原資は、夫が稼いだ所得から賄われたものである。

 したがって、この預貯金は 夫の相続財産である。

 

 上記のような判断は、日本において「夫婦別産制」を採用していることも

 関係していると思われます。

     ※  夫婦別産制とは、結婚前から自分が持っていた財産は自分のものとし、

          結婚後でも自分で得た財産は夫婦であっても別だとする考え方です。

 

 ご主人から渡された生活費を管理して貯めている…。

 どこのご家庭でもよくあるケースです。

 名義預金は、私たちの周りで身近に起こりうる問題です。

 当事者の方が 将来、意図していないトラブルに巻き込まれないように

 事前にできることを ご提案していきたいと思います。

 また、いま 気になることがある方も、お気軽にご連絡ください。

 お話を伺いながら、適切に対応させていただきます。

 

  

 ※ 事例については、

     国税不服審判所 平成19年10月4日裁決 裁決事例集 NО,74-255頁 を参考にしました。