相続は、手間がかかる

一人暮らしのおばあさんが入院中だった場合の小規模宅地等の特例

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

前回は、相続税の申告期限までに相続人が死亡した場合の

小規模宅地等の特例について紹介しました。

今回は、一人暮らしだった おばあさんが入院中に亡くなったケースについて考えてみます。

 

例)山田 三郎 … 10年前に他界

  山田 文子 … 三郎の妻

          三郎が他界したあと、ひとりで暮らしていたが、

          体調を崩して入院。病院で亡くなった。

 

  山田 卓也 … 長男(ほかに兄弟はいない)

 

  唯一の相続人である卓也さんは、5年前から遠隔地に勤務し、

  妻子とともに暮らしていました。

  文子さんの自宅は、入院中、空家となっていました。

  文子さんの死亡により、卓也さんは、自宅と敷地を相続し、転職して、

  妻子とともに、この家で暮らすことになりました。

 

〔 質問 〕

     卓也さんが相続により取得した文子さんの自宅の敷地について、

   小規模宅地等の特例を受けることはできるでしょうか。

 

〔 回答 〕

    小規模宅地等の特例を受けることができます。

 

  原則的に、この適用を受けるには、文子さんが亡くなる直前まで

    自宅に暮らしていたことが要件となります。

  しかし、文子さんは入院していたため、自宅は空家の状態でした。

 

  今回、適用を受けることができたポイントは、以下のとおりです。

 

 ① 自宅について、退院後は 今までどおり また生活できる状態であった。

    ※ 例えば、自宅を改装し、アパート等として貸し付けていなかった…など

 

 ② 卓也さんは、文子さんが亡くなるまで 5年間 社宅で暮らしていた。

    ※ 親と同居していなかった相続人が相続する場合、

      ” 相続開始前3年以内に持ち家がなかった ”  ことが要件です。

 

 ③ 相続人は、卓也さん1人であった。

    ※ 親と同居していなかった相続人が相続する場合、

      文子さんと同居している他の相続人がいなかったことが要件です。

 

 ④ 文子さんの夫  三郎さんが すでに他界していた。

    ※ 親と同居していなかった相続人が相続する場合、

      文子さんに配偶者がいないことが要件です。

 

 小規模宅地等の特例を適用するときは、複数の要件をクリアしていくことが

 必要となってきます。

 今回のケースで、卓也さんは、自宅敷地の評価額(330㎡限度)を80%減額する

 ことができます。