相続は、手間がかかる

事業承継税制(相続時精算課税制度との併用)の改正

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

複数回にわたり、平成29年に行われた 相続税、贈与税の改正項目を 解説しています。

 

今回は、事業承継税制の3回目です。以下、ご紹介していきます。

 

☆ 事業承継税制とは

 

 贈与税 … 現経営者から 贈与によって 後継者が取得した自社株式に対応する

       贈与税の納税が猶予・免除されます。

 

  相続税 … 現経営者から 相続又は遺贈によって 後継者が取得した自社株式の

      80%部分の相続税の納税が猶予・免除されます。

 

〔 相続時精算課税制度との併用が可能に 〕

 

  事業承継として、贈与税の納税猶予の適用を受けている株式等について

  相続時精算課税制度の適用が可能となりました。

      これまで、” 贈与税の納税猶予制度を使いたいけど、万が一、要件を

  満たせなくなった場合の負担が重い … ” そんな声があがっていました。

 

  事業承継を実行したいと思っても、納税猶予が取り消された場合、高額な贈与税が

  課される恐れがあり、納税猶予制度の適用を躊躇する人は、少なくありませんでした。

 

  相続時精算課税制度との併用ができるようになりましたので、万が一のリスクが

  軽減されることになります。

 

  ◎ この改正は、平成29年1月1日以後、贈与税の納税猶予を適用した場合に限ります。

    平成28年12月31日以前に すでに贈与税の納税猶予を受けている場合は、

    相続時精算課税の適用はできません。

 

☆ 相続時精算課税制度とは

 

      60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子または孫に対し、

  財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度。

  父母または祖父母が亡くなったときの相続財産の価額に この制度を適用した

  贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して 相続税額を計算します。

 

  贈与財産の額には、2,500万円の特別控除があります。(複数年にわたり 利用可能)

  言い換えると、一生にわたる非課税枠が 2,500万円というところでしょうか。

 

  贈与財産の額から、2,500万円を控除した残額に対して、一律20%の贈与税が

  課税されます。

 

  贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

 

  このように、相続時精算課税制度は、贈与税、相続税を通じた課税が

  行われる制度です。

 

  ◎ 注意点

    相続時精算課税を適用すると、その後、同じ贈与者からの生前贈与については、

    暦年課税に戻ることができません。

    基礎控除額110万円以下の贈与を受けたときでも 贈与税の申告をする必要が

    あります。

 

  相続時精算課税は、適用を検討する方の条件によっては、適用しないほうがよい、

  という判断になる場合が 多々あります。

 

  今回の改正で、贈与税の納税猶予と相続時精算課税制度が併用できるように

      なりました。

  そこで まず重要なのは、事前に 相続時精算課税を適用することが有利なのか

      見極めることだと思います。

  ひとつの制度を検討するだけでなく、総合的に判断することが大切です。