相続は、手間がかかる

2種類の贈与税率を使って贈与税額を計算

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

12月に入り、年末までに、金銭などの贈与を考えておられる方も いらっしゃるかと思います。

贈与税は、贈与金額が増加すれば、税率も上がるという累進課税の方法が とられています。

贈与税率は、以前は1種類のみでしたが、平成27年以降は、贈与者と受贈者の関係によって、

「特例贈与財産」と「一般贈与財産」の2種類に区分され、それぞれ贈与税率が設けられました。

 

☆  特例贈与財産については、「特例税率」を適用します。

 

  直系尊属(祖父母や父母など)から、贈与を受けた年の1月1日において

     20歳以上の子・孫などへの贈与が対象です。

 

    ※ 直系尊属からの贈与が対象となるため、例えば、夫の父からの贈与等には適用できません。

 

☆ 一般贈与財産については、「一般税率」を適用します。

 

  「特例贈与財産」に該当しない場合の贈与が対象です。

    例えば、兄弟間、夫婦間、親から子への贈与で子が未成年者の場合などが対象となります。

 

例)1月1日~12月31日の間に、500万円贈与があった場合

 

  〔ケース 1〕 父親から贈与を受けたケース

 

    500万円 - 基礎控除額 110万円    =  390万円

    390万円 × 15% - 10万円 = 48.5万円 … 贈与税額

                             「特例税率」を適用

  〔ケース 2〕 夫から贈与を受けたケース

 

    500万円 - 基礎控除額 110万円    = 390万円

    390万円 × 20% - 25万円 =  53万円 … 贈与税額

                            「一般税率」を適用

  

贈与者が1名の場合は、その贈与者によって、上記の「特例税率」または「一般税率」のいずれかを

適用して贈与税額を計算します。

もし、2名以上の者から贈与を受けた場合は、どうなるのでしょうか。

 

例)  受贈者        花子さん(30才)

    贈与者 1人目   一郎さん(32才) … 花子さんの夫  500万円   一般贈与財産 

    贈与者 2人目 太郎さん(65才) … 花子さんの父親 500万円   特例贈与財産 

 

       この場合には、次の手順により計算します。

 

  ①  一般贈与財産の税額を求めます。

         まず、全ての贈与財産を「一般贈与財産」として計算します。 

   500万 + 500万 = 1,000万円

   1,000万円 -110万円  =  890万円

                      基礎控除額

   890万円 × 40% - 125万円 = 231万円 … 一般税率で計算

 

    → 全体のうち、一般贈与財産に対応する税額を計算

      231万円  ×  500万円  /  ( 500万円 + 500万円 ) =  115.5万円  

             一般贈与     一般贈与   特例贈与     

              財産       財産     財産

 

 ②  特例贈与財産の税額を求めます。

    まず、 全ての贈与財産を「特例贈与財産」として計算します。

    500万 + 500万 = 1,000万円

    1,000万円 -110万円  =  890万円

                      基礎控除額

    890万円 × 30% - 90万円 = 177万円  … 特例税率で計算

 

     → 全体のうち、特例贈与財産に対応する税額を計算

      177万円  ×  500万円  /  ( 500万円 + 500万円 ) =  88.5万円  

             特例贈与     一般贈与   特例贈与     

              財産       財産     財産

    

 ③  花子さんの贈与税額

            上記①  + 上記②  を求めます。

    115.5万円 +  88.5万円 = 204万円  

 

年末までに贈与を検討されておられる方、また、贈与税額の計算がわかりにくい と

感じられた方は、お気軽に 当事務所まで ご相談ください。