相続は、手間がかかる

申告期限前に相続財産を売却した場合の小規模宅地等の特例

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

前回のブログで、小規模宅地等の特例のうち、特定居住用について

適用要件の強化が検討されている、という話題を紹介しました。

 

今回は、相続人が申告期限前に、被相続人の自宅を売却して

換金した場合について、考えていきます。

 

例)山田 太郎 … 父(一人暮らし)

  山田 一郎 … 長男(持ち家に居住)        太郎さんとは生計が別

  山田 二郎 … 二男(5年以上、アパートに居住) 太郎さんとは生計が別

 

  H28.7.31 太郎さんが亡くなりました。

         相続人は、一郎さん、二郎さんの2人です。

 

  H28.9.30 2人は、太郎さんの自宅の土地建物について売買契約を締結しました。

         売却により得られた金銭は1/2ずつ分けることで合意しました。

 

  H29.5.31 太郎さんの相続税の申告期限。

 

  H29.6.30 上記売買契約の残代金が入金され、引渡しが完了しました。

 

    ☆ 二郎さんは、3年以上持ち家がないことから、特定居住用の適用を

               受けるためには、太郎さんの相続開始時から申告期限まで、

               太郎さんの自宅の敷地を継続して保有していなければなりません。

 

  Q.今回のケースでは、相続税の申告期限までに、売買契約が締結されています。

    二郎さんは、保有継続要件を満たして、小規模宅地等の特例を受けることが

    できるでしょうか。

 

  〔回答〕

           小規模宅地等の特例を受けることができます。

           相続税の申告期限までに、売買契約の締結がなされていても、

           その引渡しが申告期限後であることから、二郎さんは、申告期限まで

           引き続き所有していたものと考えられます。

           したがって、特定居住用の保有継続要件を満たすことになります。

 

  ※ 参考

           資産を譲渡した日とは、

           原則 ①譲渡契約に基づいて資産を買主などに引き渡した日

         例外 ②売買契約締結の日( に譲渡があったものとすることもできます。)