石川県の相続税専門税理士
金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!
ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
数回にわたって、さまざまな税額控除を紹介しています。
今回は、相続人が障害者だった場合に受けることができる控除です。
☆ どんな制度か
障害者が満85歳になるまでの年数 ×10万円 を相続税額から控除することができます。
特別障害者の場合は、
満85歳になるまでの年数 ×20万円 を相続税額から控除することができます。
例)相続人 ゆかりさん … 障害者手帳3級の記載がされています。
相続開始時の年齢 35歳8カ月
端数の8カ月は切り捨て、35歳で計算します。
( 85歳-35歳 )× 10万円 = 500万円 → 障害者控除の金額
☆ 障害者控除が相続税額より大きい場合は?
相続または遺贈により財産を取得したゆかりさんが、
相続税額から障害者控除を差し引いても なお控除しきれない
障害者控除の金額があるときは、
その控除しきれない金額を ゆかりさんの扶養義務者の相続税額から
控除することができます。
※ ここにいう扶養義務者とは配偶者、父母、祖父母などの直系血族、兄弟姉妹、
その他一定の親族をいいます。
例) 相続人 鈴木 一郎 … ゆかりさんの父 相続税額500万円
相続人 鈴木 花子 … ゆかりさんの母 相続税額300万円
相続人 鈴木 ゆかり … 35歳 相続税額100万円
(障害者控除適用前)
ゆかりさん…障害者手帳3級の記載
( 85歳-35歳 )× 10万円 = 500万円 → 障害者控除の金額
↓
ゆかりさんの相続税額の計算
相続税額 100万円 - 障害者控除 500万円 = △400万円
一郎さんと花子さんは、話し合いにより、△400万円について
それぞれ 1/2ずつ 控除することにしました。
400万円 × 1/2 = 200万円
一郎さんの相続税額の計算
相続税額 500万円 - 障害者控除 200万円 = 300万円
花子さんの相続税額の計算
相続税額 300万円 - 障害者控除 200万円 = 100万円
上記のように、扶養義務者全員が、協議により、控除を受けることができる金額を
定めた場合は、その金額をそれぞれの相続税額から控除します。
☆ ポイント
障害者控除は、相続または遺贈により財産を取得した場合に適用できる控除なので、
ゆかりさんが相続により、財産を取得しなかった場合には障害者控除自体の適用は
ありません。
☆ 障害者の方について障害者控除のほかに適用される特例
① 特定障害者の方を受益者とする信託を行ったときの非課税
特別障害者である特定障害者 → 6,000万円まで
それ以外の特定障害者 → 3,000万円まで 贈与税が非課税となります。
※ 特定障害者とは … 障害者、特別障害者の方のうち、精神に障害のある方
この非課税の適用を受けるためには、財産を信託する際に
「障害者非課税信託申告書」を、
信託会社を通じて所轄税務署長に提出しなければなりません。
② 心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の非課税
地方公共団体から心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される
給付金を受け取った場合 → 所得税は非課税となります。
この給付金を受ける権利を相続または贈与によって取得したとき
→ 相続税および贈与税は非課税となります。
障害者の方について、相続税や贈与税の計算上、受けられる優遇制度を紹介しました。
これらの他にも、税金の計算上、優遇される制度は、たくさんあります。
次回、こちらのブログでまとめて紹介したいと思います。