相続は、手間がかかる

亡くなった父の遺産分割協議前に母も亡くなった場合 ~残された相続人が1人のケース~

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

相続税部門の山本です。

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

相続税の申告は、被相続人が死亡したあと、相続人の間で遺産分割協議を行い、

その遺産分割協議の結果をもとに、各相続人の相続税額を計算して行います。

 

ときには、被相続人が死亡したあと、まもなく その相続人が亡くなってしまうケース

があります。相続の実務に携わっていると、さまざまなケースに対応していくことが

必要となってきます。

今回は、お父さんとお母さんが連続して亡くなってしまい、残された相続人が

子供1人だった場合について、具体的に解説していきます。

ポイントとなるのは、父の相続財産について、母と子供の間で 遺産分割協議が行われていたか

どうかという点です。

 

例)家族構成 … 父、母、一人息子

  山田 太郎さん(父) … 平成29年11月死亡

  山田 花子さん(母) … 平成30年3月死亡

  山田 誠 さん(一人息子)

 

  太郎さんが亡くなったあと、太郎さんの相続財産について 花子さんと誠さんの間で

  遺産分割協議は行っていませんでした。

  花子さんと誠さんの間で遺産分割協議が行われるまえに 花子さんが亡くなりました。

 

Q1.太郎さんの相続財産は、いったん 花子さんと誠さんが相続し、そのあと、

    花子さんの相続財産について 誠さんが相続するという形をとる必要がありますか?

 

〔回答〕

       原則的に 太郎さんの相続財産は、相続人である花子さんと誠さんの共有財産であるため、

       いったん 花子さんと誠さんが相続し、そのあと、花子さんの相続財産について

       誠さんが相続するという形をとる必要があります。

  一方で、今回、残された相続人が誠さん1人のため、実務上、Q2のような

   取り扱いが認められています。

 

Q2.太郎さんの相続財産を 花子さんに相続させることなく、直接、誠さんが相続しても

    よいですか?  

 

  「遺産分割協議証明書」という書面を作成した場合、太郎さんの相続財産を

   誠さんが直接 相続することができます。

  「遺産分割協議証明書」とは、今回のように残された相続人が1人である場合に

    作成する書面です。

 

  “ 平成29年11月(太郎さんの相続)~平成30年3月(花子さんの相続)の間に、

        太郎さんの相続財産について、花子さんと誠さんの間で、遺産分割協議が行われ、

        太郎さんの相続財産を誠さんが相続することになりました。“

 

   ※ 上記のような内容を記載します。

     詳細な様式については、当事務所までお問合せください。

 

   遺産分割協議は、書面にせず、口頭で行われた場合でも有効であるとされています。

   ただ、口頭で行われたかどうかを証明する方法はありません。

   今回、誠さんが「遺産分割協議証明書」を作成することにより、太郎さんの相続

   財産を直接、相続したものとして 不動産その他の財産の名義変更をすることが

   可能となります。