相続は、手間がかかる

相続財産の大半が預金の場合の注意点

Vol.0367

相続税の申告業務に携わらせていただいて

どれひとつとして同じものはないなと

思うことがしばしばありません。

 

 

お客様から、「そんなにたくさんしたら

どれがどの人のものかわからなくなりませんか?」と

言われたことがあります。

 

 

たしかに、はたからみると

そんな風に見えるのかもしれませんが

決して、混乱することがないのです。

 

 

一つ一つが、印象深いことがあったり

ご家族の方といろいろな会話をするから

記憶に残りやすいのです。

 

 

そんな中でも

相続財産の傾向には、主に2つあります。

 

 

相続財産の大半が不動産の場合か

金融資産の場合です。

 

 

大半が金融資産の場合には

申告上、注意することがあります。

 

 

税務調査においても

金融資産、特に、預金の漏れを

指摘されることが最も多いからです。

 

 

注意することは、2つです。

 

 

1つ目は、生前に贈与と称した預金の移動がないかどうか。

 

 

たとえ、110万円以下(贈与税がかからない基準)であっても

相続人が親などから亡くなる直前(3年前)に贈与を受けていた場合は

相続財産に持ち戻されることになります。

 

 

金融資産、とくに預金が多い場合は

相続税対策として、資金を移動されている場合が少なくないので

生前の預金の移動を確認する作業はかかせません。

 

 

2つめは、名義預金がないかどうか。

 

 

こちらも相続税対策として

預金の名義を自分以外の家族名義にしておくことがあります。

 

 

これは、相続税対策にはなっていません。

 

 

名義を変えておけば

自分の相続財産ではなくなるだろうと考えて

形式上、預金の名義が変わっただけで

自分の財産であることには変わりありません。

 

 

相続財産には、単に亡くなった日時点の預金残高を

上げておけばそれでよいということにはなりません。

 

 

一見、相続財産に不動産がなく

預金が大半だと評価する手間がかからないので

簡単にすみそうですが

意外や意外、預金が大半を占めている場合

「それ以外にないことを証明する確認作業」に

手間取るのです。