土地の評価(路線価方式)3つ以上の道路に接している
土地の評価方法には、大きく分けて「倍率方式」と「路線価方式」の2つがあります。
「路線価方式」により 土地を評価するときは、
路線価 × 面積 = 評価額 となります。
上記の式で計算するのが基本となってきますが、評価しようとする土地の形状によって
評価を増額する必要が出てきたり、一方で 減額することができます。
例えば、土地の形が きれいな正方形や長方形であれば、いろいろな用途に使うことが
できるため、その土地の価値は高い といえるでしょう。
一方で、いわゆる「 うなぎの寝床 」のような 形であれば、用途は限られてしまいます。
このような場合は、減額の対象となります。
また、土地の一方のみが道路に接している場合もあれば、二方の道路に接している場合もあります。
二方の道路に接している場合は、それぞれが接している道路の路線価を基に評価していくことに
なります。二方の道路に接しているほうが利便性が高いと考えられるため、
評価するときは、増額の対象となります。
このように、個々の土地によって、評価額の計算を調整していくときには、
「画地調整率」という率を使っていきます。
それにはまず、評価しようとする土地が どのような地区に所在しているのかを
確認する必要があります。所在する地区ごとに、画地調整率が決められているからです。
路線価図の上部には、評価しようとする土地が、どの地区に所在しているのか
地区表示記号が示されています。→ 土地の評価(路線価方式)所在地区の確認 を参照ください。
所在地区の確認ができたら、次は、画地調整率を使って 評価をしていくことになります。
画地調整率は、評価しようとする土地の形状や利便性に応じて、さまざまな種類があります。
評価しようとする土地が、一方の道路のみに接している場合は、
路線価 × 奥行価格補正率 × 面積 = 評価額 となります。
それでは、評価しようとする土地が、3つの道路に接している場合は、
どのように評価するのでしょうか。
複数の道路に面している土地を評価するときは、
まず、” 正面路線 ” を決めます。
そして、この正面路線をもとに、その他の路線の評価額を加算していくことになります。
【 評価しようとする土地が、3つの道路に接している場合 】
① 3つの道路のうち、まず、正面となる道路を決めます。
② もう一方の道路の路線価をもとにして、評価額を加算していきます。
③ さらに、3つめの道路の路線価をもとにして、評価額を加算していきます。
3つの道路に接しているということは、一方、二方の道路に接しているよりも
利便性がよくなります。
例 ) 評価しようとする土地は、道路①と道路②と道路③に接しています。
宅地の周りを コの字形の道路が通っています。
この宅地の周りの道路は、どの角もすべて通り抜けることができます。
普通住宅地区
表の道路①
路線価 100,000 円 奥行距離 12 m( 奥行価格補正率 1.00 )
表と裏をつなぐ道路②
路線価 100,000 円 奥行距離 9 m( 奥行価格補正率 0.97 )
裏の道路③
路線価 98,000 円 奥行距離 12 m( 奥行価格補正率 1.00 )
面積
100 ㎡
表の道路①
路線価 100,000 円 × 1.00 = 100,000 円
→ 正面となります。
( 接している3つの道路のなかで、路線価×奥行価格補正率が いちばん高いから )
表と裏をつなぐ道路②
路線価 100,000 円 × 0.97 = 97,000 円
→ 側方となります。
裏の道路③
路線価 98,000 円 × 1.00 = 98,000 円
→ 裏面となります。
【 正面(道路①)の評価額 】
100,000 円
【 側方(道路②)の評価加算額 】
100,000 円 × 0.97 × 0.03 = 2,910 円
奥行価格補正 側方加算
( 角地 )
【 裏面(道路③)の評価加算額 】
98,000 円 × 1.00 × 0.02 = 1,960 円
奥行価格補正 二方路線加算
【 1㎡あたりの評価額 】
100,000 円 + 2,910 円 + 1,960 円 = 104,870 円
【 この土地の評価額 】
104,870 円 × 100 ㎡ = 10,487,000 円
評価しようとする土地が、複数の路線に接している場合は、
まず、それぞれの道路の路線価を調べ、そして、奥行距離を測ります。
そして、路線価 × 奥行価格補正率 のいちばん高い路線が 「 正面 」となります。
正面路線が決まれば、その正面に対して、側方なのか、裏面か、
そして、通り抜けることができる道路なのか、行き止まりなのか 等を考慮して
評価額を加算していきます。
例えば、土地が4つの道路に接しているときは、正面、裏面、側方が2つ あることに
なります。まず、正面となる路線を決定し、あとは、接する路線に応じて
評価額を加算していけばよいですね。
税理士法人みらいサクシード
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